「きっと、あたしたちは、幼馴染っていう関係をズーット保つんだろうね。」 いつだったか、あいつは突然そう言い放った。 「ブーンブーン!」 俺の名(?)を大音量で叫びながら教室へ入ってくる。 隣にいた仁王が、「ブンブン・・・」と呟き、クツクツと笑っている。 「ブンブン言うな!」 「まぁまぁ、丸井。似合うとるぜよ、ブンブン。」 また笑う。 自分でも、顔が真っ赤になっていくのがわかった。 ・・・それが、ただ単に怒りからくるのか、恥ずかしさからくるのかはわからないけど。 「そうそ。あ、でさーブン太。」 「あ?どうした。」 「今日、どうする?家、来る?」 「あー・・・そうだな。行く。でも、部活があるから遅れるぜぃ?」 「うん。わかったー。」 それだけ。と言って去っていく。 今日、何があるのか? それは、俺の誕生日。 そして、の誕生日。 誕生日が同じで、幼馴染で、親同士がものすごく仲良しな俺たちは、 毎年、交互に互いの家で誕生会が開かれる。 さすがにこの年で・・・とは思うが、 と過ごせるからひそかに楽しみだ。 「ブンブンそんなに嬉しいんか。そーかそーか。よしよし」 「はっ?!な、何すんだ仁王っ!」 突然、仁王に頭を思いっきり撫でられた。 ・・・ワシャワシャってかんじ? マジムカつくこいつ。 思いっきり突き飛ばしたのに、ニヤけてやがる。 「キモイぞお前。」 「プリッ」 ・・・マジムカつくこいつ。 「ブン太ー。帰ろ。」 「おう!・・・て、!何、待ってたのかよぃ?」 「うん!今日くらいは一緒に帰ってもいいかなと。」 「そっか。んじゃ、帰ろうぜぃ!」 何、こいつ! こんな可愛かったっけ? 嬉しさで顔が緩むのを隠すために、ガムを勢いよく膨らました。 「ただいまー。」 「おじゃまします。」 ん家に着いて、お邪魔しますなんて他人行儀なことを言ってから入る。 「あら、ブンちゃんいらっしゃい。翔太君たちも来てるわよ。」 「ちわー。げ、アイツ等もう来てんの?」 「ええ、元気ねぇ。さっきもそこでズテンって。うふふ。」 「ズテンって!こけたの?お母さん、そこはうふふじゃなくて・・・!」 あぁ、この親子のこんな会話シーンも久しぶりだなぁなんて思って。 俺等もいつのまにか離れていくんだって、ちょっと泣きそうになった。 「ブン太?何て顔してんの?誕生日なんだからもっと明るく!」 「え、おおう!」 「おおう?・・・ップ、アハハハ!」 「わ、笑うなよぃ!恥ずい!」 噛んだ・・・。 涙なんてふっとんだ。 少しの間、弟’sとと話していると、おばさんの「できたわよー」って声が聞こえた。 食卓に入ると、そこにあったのは大量のごちそうだった。 弟’sと一緒にテンションは上がり、の静止の声も聞かずに食べ続けた。 そして、メインのケーキも食べ終わり、弟’sも眠った頃、に誘われてベランダに出た。 「何だよぃ。」 「んー?いやさー、最近学校でもあんま話さなかったでしょ?」 「あぁ。」 「だから今のうちに話しとこうかと思って。」 「何を?」 「私さー・・・かなーり前に、『きっと、あたしたちは、幼馴染っていう関係をズーット保つんだろうね。』って言ったじゃん?」 ドキっとした。覚えてたんだ、。 「あれ、撤回。」 「は?」 「撤回する。」 何を言ってるのかわからない。 撤回してどうすんだ。 ・・・・なんて思った俺は、なんて馬鹿なんだ。 「ねぇ、ブン太。」 「んー?」 「私と、付き合ってみる気、ない?」 噛んでたガムがブッ飛んだ。 幼馴染を卒業して、新しい2人の関係まで、(俺がに返事をするまで)あと5秒。 5 4 3 2 1 Ready.GO! ------------------------------------------------------------ 幼馴染って、近いようで遠いですよね。 そんなかんじで。 タイトル(お題):企画サイト |← キョリ →| 様提出作品 '07/08/06 桐夜 凪 ------------------------------------------------------------ |