「えーっ!○○君って△△ちゃんのことが好きだったのー?!」

「そうなんだって!信じらんない!」

「マジー・・・。ショックかも・・・。」

「ねー。」


なんて、毎回毎回。

女子ってすごいなー。そんなくだらんことで盛り上がれるなんて。

噂話で盛り上がる女子をぼんやり眺めながら、そんなことを思う。

男だったら、「○○が△△に告ったんだってよ!」「へぇー」で会話終了だろう。

よっぽど噂好きでない限りは。

そういやーこの前、慈郎が言ってたな。


『俺さー、彼女ができたんだ!あのねーあのねー、絢那ちゃんってんだ!』


俺か、その話題に「へぇー」って返事して強制終了させたのは。

ぶっちゃけ、俺より慈郎が先に彼女作るなんて思ってもみなかったし。

夢でも見たんじゃねぇの?って感覚だったし。

・・・その日の放課後、本当に彼女らしき女子と慈郎が手ぇつないで帰ってたから焦ったけど。


「がっくーん!」


噂をすれば何とやらってこのことか?

いや、俺の思考の中で繰り広げられた話だから噂じゃないのか。

慈郎が勢いよく俺の机に向かって走ってきた。

女子の黄色い声があがる。


「んだよ、ジロー」

「あのね。あのね。今日、一緒に昼飯食べよー!」

「はぁ?!何で俺がわざわざお前と彼女のいちゃつく場に行かなきゃなんねぇんだよ!」


かなり惨めじゃね?

俺惨めじゃね?


「いや、あのね。絢那ちゃんがね、友達も連れてくるって!」

「彼女、おかしいんじゃねーの?」


普通、彼氏との昼飯に友達呼ぶか?

その友達も災難だ。

ん?その彼氏に誘われてる俺も災難か?

うわー・・・俺マジで惨めじゃね?(三回目)


「えー。おかしくないCー。ってわけで、がっくんも参加ね!強制!はいこれ決定!」

「はっ?ちょっと待て、おい、ジロー!!」


わけわかんねー!

俺の意見は?意思は?!

つか、・・・マジで俺って惨め。(四回目)












はい、昼休みー。(壊)


「絢那ちゃーんっ!がっくん連れてきたよーvV」

「あっ!慈郎くん!」


ガバァッって、彼女に抱きつく慈郎。

見せつけてんじゃねぇー!

何だよ、何のために俺はいるんだよぉ!


「おい、ジロー。別に俺がいる必要は何処にもねぇじゃん。帰る。侑士と食う。」


イラつきを隠しもせずに俺がそう言うと、慌てたジローが俺を止めた。


「まっ待って、がっくん。あ、絢那ちゃんっ!」

「う、うん。ほら、。」


ジローの彼女に背中を押されて、後ろから不満げに出てきた女生徒。

その姿を確認した途端、俺の思考回路はショート寸前。(某:月のプリンセス風)

顔が真っ赤になったり、真っ青になったりするのがわかった。


「がっくんがっくんって。誰なのよソイツ。」

「向日岳人。俺の友達ー♪」

「ふーん。」


ジロー、お前、なんてことを・・・。

そのまま呆然と立ち尽くす俺に、天使の顔した悪魔の羊の声が聞こえた。


「がっくん、ずっと前から好きだったんでしょ?挨拶からしてみたら?」


へへっ!俺ってチョー友達思い!

そう言って、彼女といちゃつき始めるジロー。

取り残された俺と、女生徒の間に気まずい沈黙が。


「あたし、。アンタは?」

「おっ俺?!」

「そう。アンタしかいないでしょ。」


それもそうだ。

突然始まった自己紹介に、落ち着きを取り戻せないまま、一言だけ呟いた。


「む、向日岳人。よろしく。」







では試しに挨拶から







「うん。知ってる。」

「え・・・?」


そういやさっき、ジローが言ってたような。


『向日岳人。俺の友達ー♪』




・・・ジロー刺す。










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ジロー、キューピッドになる。の巻
初書きがっくん夢。

最初の方、全く無意味。
                    '07.08.14  桐夜 凪
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