グラウンドに目を向けると、何事だ、とこちらを気にしながらも、

キャッチボールを続ける部員たちの姿が目に入った。


「・・・そろそろ限界、かな?」


視線をたどったのか、そんな部員たちに気付いた監督が、集合を掛けた。


さあ・・・

アイツはどんな顔をする?






















「みんなもう気付いてるねー?」


百枝が言い終わらないうちに、部員たちの視線はに集中していた。

百枝は苦笑してから、


「新入部員よ。・・・くん」


を振り返った。


です。マネジとして入部しました。よろしく。」


は、小さく礼をする。

顔をあげた瞬間、質問攻めが待っていた。


「なんでこんな中途半端な時期なの?!」

「なんでマネジ?」


全ての質問に答えるのは無理だったが、ある程度は答えていく

一通り答えて、部員達がぞろぞろと練習に戻っていくなか、

未だ固まっている幼馴染に声を掛ける。


「廉」


その表情は、柔らかかった。


「廉、久しぶり。」


微笑めば、三橋は何かを思い出したように、勢いよく顔を上げた。


「なっ、なんでっ?!」

「うん・・・また後で、いろいろ説明するよ。」


とりあえず、今は『』だから。

最後に小声で付け足すのを忘れない。


、三橋と知り合いなのか?」


と三橋の会話に気付いた泉が、割って入る。


「ああ、幼馴染だよ。な?」

「え、う・・・うん、幼馴染っだよ!」


三橋が答えると、泉は目を丸めた。


「へー・・・じゃあ、も三星出身?」

「ああ、うん。」

「っ・・・く、んはっ、アメリカっに、いたんだ、よ!」

「(お、名前・・・。対応早いな・・・・・・けど、)」

「何?アメリカ?」


泉が眉を潜めながらに視線を送る。


「まあ、諸事情でね。」

「ふーん・・・?」


少し納得いかない表情で、泉も練習に戻る。

それを見送って、は三橋に向き直った。


「廉、私さ、治ったよ。」

「!・・・ほんとっ?!」


目を輝かせる幼馴染に、思わず微笑みが浮かぶ。


「けど、やっぱ・・・まだ激しい運動は出来ないんだ。」

「だっ、だからマネジ、なんだっ!」


でも、良かった!


そう言って満面の笑みをその間抜けな顔に浮かべる三橋に、も満面の笑みで答えた。


「また、一緒に野球・・・・・・、出来るかもね。」

「うん!!」


また、一緒に・・・・・・。


「あっ!でも・・・なんで、男になってる、の?」

「ああ、それは単純に・・・――」

「三橋くん!さっさと練習しなさい!くんはこっち!」

「はぅあっ!!」

「あ、はい!すいません!」



単純に・・・――



男になってた方が、野球しやすいからだよ。

廉とも、修吾とも。














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