「・・・・・・四人、か。」
少ない方だ、そう呟いて手にした紙に四人と記す。
――死亡者数、四人
今宵も、死人列車は走り出す。
この世での命を終え、黄泉へと向かうべき者達を乗せて。
A Secret Treaty 参ノ巻 “二重人格”
「トシ」
自分を呼ぶ声で目が覚める。
滅多に聞かないその声に、驚きと戸惑いを隠しきれずに、
土方は、声にならない声で呟いた。
「・・・・・・」
見上げる先には、毎日見る愛しい幼馴染。
しかし、中身は今、『』のもの。
『』は、時々こうして、『』と入れ替わる。
つまり、二重人格者。
土方、沖田、近藤のみが知ることで、他の者には知られていない。
しかし、その『』は、入れ替わった時でもほとんど姿を現さない。
その『』が、わざわざ自分の目の前に現れたということは・・・。
土方の胸中を読んだかのように、『』は言った。
「今から七日程、俺のままだ。仕事が入った。局長にも伝えてくれ。」
寝起きで、まだよく働かない頭で理解し、頷いた。
「わかった。」
「そうか・・・が出てきたか。」
遠い目をして、近藤が呟く。
「あぁ。」
「七日か・・・寂しくなるなァ?」
「・・・・・」
土方は、何も言わずに、
ミントンに夢中になる山崎を視界の隅におきながら、煙草に火をつけた。
「なんで、俺には言ってくれねェんでしょう、・・・さん。」
二人の後ろから、不機嫌なオーラを身にまとった沖田がふいに口を挟む。
土方は、一瞥をくれてやることもせず、静かに言った。
「さァな。テメェには言いたくなかったんじゃねぇのか。」
「・・・喧嘩、売ってんですかぃ。」
「・・・・・・いいや。」
そう答えた横顔は、どこか切なく、その瞳には何が映っているのか。
土方、沖田にとって、の居ない一週間は、長い。
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最近読んでないなぁ、銀魂。
これも受験勉強の息抜きに書いてたもんです。
口調とかいろいろおかしくなってるのは気のせいの方向でお願いします。←