暗く、何もない空間を、どこへ行くわけでもなく、

ただ、妙な浮遊感だけを感じ、は歩く。

「・・・此処は?」


呟く声が、反響した。

思い出す。

確か、以前にも何度か来たことのある場所だ。


か・・・」


気付いてから、ふと思う。

私のカラダは、いつまでもつのだろう・・・・・・――


、しばらく眠れ。魂がかなり疲れている。”


どこからか聞こえるの声を最後に聞いて、は意識を手放した。







A Secret Treaty  四ノ巻  “黄泉へ”







が出て来てから2日。

通常通りに運転を続ける死人列車を、ただ何も感じることなく監視する


滅多にないことだが、偶に逃げ出して不法に生き返ろうとしたり、

いつまでも黄泉へ逝こうとしない者がいる。

そのような者は、罪人として取り締まられ、地獄へ送られる。


それを監視し、実行するのが、の仕事だ。

そして、にとって、それだけがこの世に存在できる理由であり、使命だ。

そのためには、“ ”の男人格として、生まれてきた。


「・・・お前、そこで何をしている。」

「はっ!!」


畜生、出やがった。

面倒だ。

内心で悪態をつきながら、逃げ出そうとした死人を捕らえる。


「お前、名は?」

「・・・樺三、です。」

「カバサン・・・」


カバの顔をした天人は、眉間にシワを寄せつつ言った。


「あっしはまだ死ねねぇ!この世に女房やせがれを置いては逝けねぇ!」


泣きそうな声で叫ぶが、罪は罪だ、そう切り捨てた。


「そんな・・・」

「悪いな、これも仕事だ。」


手錠をかけ、連れていかせる。

そして、手元の紙にある、罪人の欄に、樺三と記した。









頭の奥深くで、声がした。


「起きたのか、


言うと、すぐに返事があった。


“ああ、それより”

「どうした?」

“気のせいだといいが・・・”


声色を曇らせるにつられ、思わず眉間にシワがよる。

同時に、背筋に何か冷たいものが走った。


「(何だ・・・?嫌な予感がする・・・)」


“あれは、総悟じゃ・・・”


の予感は、外れたことがない。







  


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銀ちゃんに会いたい。
全く読んでないよー・・・