#2 あ、えーと・・・この人、見たことあるな・・・。







朝、目が覚めた私はアセった。

何時だ。今は何時だ。


「遅刻だ・・・。8時じゃん。」


昨日、思う存分勉強して、寝たのは夜中の2時だった。

そのおかげか、セットしたはずの目覚まし時計は見事なまでに粉砕され、

8時過ぎにやっと起きることができたのだった。


「一応、連絡しといたほうがいいよね・・・。」


学校に連絡し、身支度を済ませてから、食パンをくわえて家を出る。

その間、10分。


「(あー駅が遠いー。)」


徒歩5分じゃなかったのか。

もう走って10分はたつ。

あのクソネズミ・・・帰ったら殴る。10発殴る。(多い)


食パンも食べきったところでやっと、駅が見えてきた。

それと同時に、やたらと目立つ赤髪も。


「(・・・あ、同じ制服着てる・・。)」


近づくにつれ、はっきりと見えてきたもの。

それは、今、自分が着ているのと同じ制服と、

遠くで見るより鮮やかな、真っ赤な髪の毛。


「(道、教えてもらおう・・・。)」


ねぇ、と声に出す前に、向こうから声をかけてきた。


「お?お前、見たことねぇ顔だな!・・・そうか!転校生だろぃ!」


“だろぃ”・・・あ、なんかこんな口癖(?)のキャラがいたような・・・・。


「俺、丸井ブン太!シクヨロ☆あ、ちなみに3年。お前は?」


あぁ、そうそう。丸井ブン太。


「・・・おい、無視かよぃ!」

「えっ?あ、ごめん。わた・・・俺は 。3年だよ。よろしく。」

「タメじゃん!で、今日は何しに学校行くんだ?土曜だぜ?」

「え、一応学力テスト・・・みたいな・・」

 
でいいんだよね・・・?

っていうかさっき“わたし”って言いかけた・・・。危ねぇ・・・。



トリップのことは、言わなくてもいいだろう・・・。


あれ、テニス部といきなりお友達・・・?

しかも結構な主要キャラ・・・?

あ、ヤベぇ。俺、やってけるかな。


なんて、1人で考え込みながら丸井と話をしていると、電車が来た。


「でよー。テニス部の部長、幸村ってんだけど。すげぇ怖ぇんだよ!」

「へぇ・・・。」


よく話すな・・・。


「ねぇ、丸井・・――」

「ブン太。」

「は?」

「ブン太でいいぜぃ!」

「え、あ、あぁ。じゃあブン太。着いたら、職員室まで急いで案内よろしく。道分かんねぇから。」

「おう!まかせろぃ!」


とりあえず、案内役ゲット。<